収まりを見せるどころか、感染の拡大が止まらない「新型コロナウイルス(COVID-19)」。
毎日テレビ、雑誌、ネットのメディアで情報が公開されていますが、聞いていてもなんとも難しい言葉が増えていく一方。意味が分からない言葉が多いからこそ、不安が増えるのも事実。
一度でも覚えてしまえば問題がなくなる、分かりづらい言葉についてまとめてみました。
新型コロナウイルス(COVID-19)
20年2月11日に世界保健機関(WHO)によって「COVID-19」と命名されました。
「COVID-19」の読み方は「コビット・ナインティーン」。日本では「COVID-19」ではなく新型コロナウイルスと報道されますが、同じ感染症に変わりありません。
「COVID-19」の名前の由来は、以下の通り。
- Corona (コロナ) → CO
- Virus (ウイルス) → VI
- Disease (病気) → D
- 2019年 (発生年) → 19
- 4つの言葉が複合 = COVID-19
名前が統一されたのは、一部で武漢ウイルスとも呼ばれていた非難を防ぐため。新興感染症(新しく認知される感染症)には、地名を入れないルールがあります。
分かりやすさから新型コロナウイルスと報道される日本ですが、次の新しいコロナウイルスが発生する可能性も…。現状は問題がありませんが、いつまでも使える名称ではありません。
コロナウイルス
以下の特徴と、属するのが「コロナウイルス」。
- ゲノム(遺伝子情報の総体)としてリボ核酸(RNA)を持つ
- 一本鎖プラス鎖RNAウイルス
- 哺乳留意が鳥類に病気を引き起こす
- ニドウイルス目コロナウイルス科
- オルトコロナウイルス亜科
まだ調査中で確定はしていませんが、コウモリが感染源と言われているのもうなずけます。コロナウイルスによる人への感染は、過去にも発生している感染症です。
- 2002〜3年:SARS (重症急性呼吸器症候群)
感染ウイルス:SARS- CoV - 2012年:MARS (中東呼吸器症候群)
感染ウイルス:MERS-CoV
まだ記憶に新しい方も多いであろうSARSにMARS。この2つもコロナウイルスに分類されるウイルスです。感染症と感染ウイルスに違いがありますので、続けて紹介します。
SARS-CoV-2
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染ウイルス「SARS-CoV-2(サーズシーオーブイツー)」。
- Severe(重度) → S
- acute (急性)→ A
- respiratory (呼吸器)→ R
- syndrome (症候群)→ S
- coronavirus (コロナウイルス)→ C
- 2 (2つ目のSARSウイルス)→ 2
日本ではSARSコロナウイルス2とも表記されます。新型コロナウイルスというウイルスがあるのではなく、SARS-CoV-2に感染し感染症を発症したのがCOVID-19です。
新型コロナウイルスは分かりやすいですが、この点でも問題を含む名称といえます。
コロナ禍
読み方:か、わざわい、まが
意味:よろこばしくない事柄、不幸を引き起こす原因、災難
「禍」の言葉の意味が分かるとしっくりきますが、知らないと分かりづらい言葉です。
ウイルスと細菌
どちらも病気になることから同じと考える方もいますが、性質の異なる「ウイルスと細菌」。
ウイルス | 細菌 | |
特徴 | 単独では増殖できない 人の細胞の中に侵入して増殖する | 細胞分裂で自己増殖する |
病原体 | インフルエンザ ノロウイルス など | 大腸菌 サルモネラ菌 など |
感染症 | インフルエンザかぜ症候群 感染性胃腸炎 など | 下痢、O157 サルモネラ感染症 など |
主な治療方法 | 抗ウイルス薬 免疫機能の調整 ※抗ウイルス薬は個別に必要 | 抗菌薬 抗生物質 |
主な感染経路 | 飛沫感染、接触感染、空気感染 ※結果的に人から人へ感染 | 経口感染 ※細菌のある物を触れる、口にするなど |
体内に入って感染するのはどちらも同じですが、自己増殖ができる細菌と、単独では増殖ができないウイルスには違いがありました。個別の抗ウイルス薬が必要であるのも、特徴です。
ウイルスは人から人へと感染するため、不要な外出を控えるように言われる理由でした。
陰性と陽性
国会議員でも意味を間違えている方がいた「陰性と陽性」。
- 陰性(いんせい) = 感染していない
- 陽性(ようせい) = 感染している
言葉のイメージから、思いの他に多くの方が間違えて覚えている場合が多いです。陰性と陽性では真逆の意味になりますので、確実に覚えておきましょう。
ウイルスの感染検査に「陰性 = 反応しない」。「陽性 = 反応する」からこそ、陽性が感染しているとなるわけです。
PCR検査と抗体検査
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染確認として用いられる「PCR検査と抗体検査」。
目的、特徴が、それぞれで異なります。
PCR検査 | 抗体検査 | |
目的・特徴 | 現在ウイルスが体内に存在するのか | 過去に感染したことがあるのか |
採取方法 | 鼻咽頭をぬぐう ※インフルエンザと同様 | 主に採血 |
精査時間 | 数時間 | 10〜20分 |
精度 | 高い | PCR検査よりも低い |
現在の状態を見るという点で、PCR検査が望ましいです。ただし、検査に時間がかかること。確認方法が複雑で設備が必要であることから、感染の疑いの高い方が優先されます。
抗体検査はスクリーニング検査(疑いを確認)の役割となること。時間もかからず簡便であるため、需要が高まっている検査方法です。振り分けの意味合いもありました。
ニュースで安価な検査方法を開発したと見かけるようになりましたが、抗体検査に当てはまります。
飛沫感染と接触感染
- 飛沫感染(ひまつかんせん)
感染者のくしゃみ、咳、つばなど飛沫したウイルスを吸い込んでの感染 - 接触感染(せっしょくかんせん)
感染者の飛沫して物についたウイルス、咳を手などで押さえた手で物を触り、他者が物を触ってから口や鼻を触っての感染
飛沫感染、接触感染には、感染方法に違いがあります。
予防方法にも違いがあり、飛沫感染の予防がマスク。接触感染の予防が手洗い。また、マスクは感染しないため手段と考えている方が多いですが、感染者の増やさないためが主な理由です。
花粉症に例えるなら「感染者 = 花粉を撒く木」。他の人に感染させないための予防になります。とはいっても誰が感染しているか分かりませんから、マスクは可能な限り付けましょう。
院内感染
- 患者
- 見舞いなど訪問者
- 医師、看護師、医療従事者、その他職員
感染症が発生した場合、病院に関わっている方であれば区別がなく院内感染の対象です。
潜伏期間
病原体に感染してから症状が発生するまでを指す「潜伏期間」。
体にウイルスが侵入しても、その時点で発症するわけではありません。人それぞれの免疫力の差、病原体などにより、症状が出るまでに差があります。
【新型コロナウイルス(COVID-19)潜伏期間】
おおよそ1〜14日 ※多くは4〜6日
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が行った発表(20年4月10日)では、潜伏期間中に他者に感染したと考えられるケースが報告されました。
今の状況では外出など行動を伴っている場合、ピンピンしている方でも安心とはいえません。
免疫力
細菌やウイルスが体に侵入を監視、撃退する自己防衛システム指す「免疫力」。
人それぞれ、体調などによっても異なります。風邪を引きやすい、ひきずらいも免疫力の差です。同じ状況であっても差が出てきますので、高くて越したことはありません。
- 腸内環境を整える
- 体温を上げる(低体温の方)
- 生活習慣の見直し
感染しないためには予防はもちろんですが、免疫力を上げることも大切です。今こそ生活習慣の見直しを考える時でもあります。
ソーシャルディスタンス
- ソーシャル = Social = 社会、社会的な
- ディスタンス = Distance = 距離
距離を取ることで密閉、密集、密接の場面を少なくする
通常であれば距離を縮めましょうとなるところですが、今は感染防止のために離れましょうということ。2mという距離は、くしゃみや咳で飛沫感染を防ぐ考慮をしたものです。
Stay Home
なるべく家で過ごしましょうを指す「Stay home (ステイホーム)」
TwitterなどSNSのハッシュタグ(#StayHome)でよく使われますので、見ることが多くなってきました。
- Stay = ステイ = 滞在
- Home = ホーム = 家
不要な外出を避け、家の中で過ごしましょうと、シンプルな言葉。強要をするのではなく、優しいメッセージが込められています。
ハッシュタグでは自宅で楽しめる情報が発信されていることも、特徴です。接触する機会を少なくすると言う意味で、ソーシャルディスタンスと共通といえます。
無症状病原体保持者
感染拡大の大きな原因になっていると考えられている「無症状病原体保持者」。
その名前の通り、症状はなくても感染している方のこと。若年層を中心に感染しても症状が軽かったり、症状が出なければ、行動を制限する方は少ないです。
まだ新しいウイルスですので分からない点も多いですが、感染しているということは他の人に感染させる可能性があります。インフルエンザの待機期間と考えるとイメージがしやすいでしょうか。
ウイルスは目に見えないですから、行動をするということは感染の可能性がありました。感染しても症状が出ないから行動する、他の方に感染するということがありえます。
スーパースプレッダー
多くの人に感染させる人を指す「スーパースプレッダー(super spreader)」。
同じ感染者であっても免疫機能の働きにより、より多くのウイルスを放出する人がいます。ウイルスを多く放出するということは、他の方に感染させるリスクが高くなるということです。
- 行動範囲が広範囲
- 人との接触の頻度が高い
- 症状が軽く日常生活を続けてしまう
ウイルスを多く放出する方は大きな要素を持ち合わせていますが、他の感染者の方も行動範囲を広げるとスーパースプレッダーになる可能性は高いです。
ウイルスを多く放出する方を指すのではなく、多くの人に感染させる方を指すのが理由。不要な外出を控えるといのには、他の方に感染させないということも含まれていました。
パンデミック
20年3月12日の世界保健機関(WHO)の会見で宣言された「パンデミック(pandemic」。
病気(感染症)の世界的な流行を指します。感染症の拡大を表す言葉ですので、症状の軽い重いは含まれていません。
- 2002〜3年:SARS
- 2009年:新型インフルエンザ
上記2つは直近のパンデミック宣言が行われた、感染症です。
アウトブレイク
パンデミックに似た言葉の「アウトブレイク(outbreak)」。
- 一定の期間内
- 特定の地域
- 特定の集団
3つの条件に当てはまり、多くの感染症が発生することを指します。特定の場所での感染の流行がアウトブレイクということ。
病院内で感染が拡大することを、院内アウトブレイクと呼ぶこともあります。
新型コロナウイルス(COVID-19)を例にすると、まず中国の一部地域でアウトブレイクが発生し、世界中に感染者が広がりパンデミックとなりました。
たらればですが、中国でのアウトブレイクの状態で感染を食い止めることができていれば、パンデミックにはならなかったということもできます。
クラスター
オーバーシュート
感染者が急増することを指す「オーバーシュート(overshoot)」。
「爆発的患者急増」とも呼ばれます。オーバーシュートの意味は「行き過ぎ、的を外す」ことで、医学的な意味がないどころか、和製英語です。外国の方には意味が通じません。
単に感染者が急増していると言えばいいところを、余計な横文字にしてしまった悪い例です。菅義偉官房長官も分かりやすい説明に務める考えを示しています。
ロックダウン
緊急時において公共の施設や道路などを封鎖することを指し「ロックダウン(lockdown)」。
都市閉鎖とも呼ばれ、小池知事が東京都のロックダウンの可能性を示唆したことで、よく聞く言葉となりました。
- 予防ロックダウン
安全を確保するために行う予防措置 - 緊急ロックダウン
人命に出し迫った脅威、リスクがある場合に実施
東京都が示唆しているのは、予防ロックダウン。緊急ロックダウンは乱射事件などが起こった際に、示唆などなく実施がされます。
新型コロナウイルス(COVID-19)でも海外ではロックダウンが既に実施されている国がありますので、今後の感染拡大によって日本でも行われる可能性があります。
中国、イタリア、フランス、EU.マレーシア、カリフォルニア州
シャットダウン
飲食店や施設、工場などの一時休業、操業停止を指す「シャットダウン」。
パソコンの電源やスマホの電源などを落とすことをシャットダウンと呼びますが、素直に営業停止と表現した方が日本では分かりやすい言葉です。
海外ではレストラン、カフェ映画館など生活必需品ではないお店や施設が、営業停止(シャットダウン)している国が出てきています。(フランス、イタリア、アメリカなど)
日本でも営業停止(シャットダウン)をする、ライブハウスがちらほらと出てきました。
プラトー
停滞することを指す「 プラトー (Plateau)」。
聞き慣れない方も多いと思いますが、特別な言葉ではありません。運動を継続することで同じ内容では効果が出ずらく(停滞)なるなど、よく使われています。
停滞というとあまりよい言葉に聞こえませんが、感染では意味のある内容です。
海外ではロックダウン(都市閉鎖)することで、感染者の人数が停滞(プラトー)する国も出てきています。感染者数が上昇するのではなく一定になるのは、効果が出始めている証明です。
停滞が続くことになれば、後は減り続けるだけ。グラフでよく見る状況と同様です。日本では感染者の人数が上昇し続けていますので、停滞(プラトー)させることがまず必要でした。
緊急事態宣言
20年4月7日に7都道府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)に対して行われた「緊急事態宣言」。
言葉は強いものですが、強制力の強いロックダウン(都市閉鎖)とは異なります。
- 外出自粛要請、興行場、催物等の制限等の要請・指示
- 医療提供体制の確保
- 緊急物資の運送の要請・指示
今までと異なるのは要請だけでなく、指示が入る部分。
私たち個人の行動はこれまでと同様で、あくまでも要請です。スーパーや病院などの対応は変わりませんので、買い占めに走ったりするのはよい行動とはいえません。
農林水産省も食料品の確保は十分にできると説明しています。
緊急事態宣言で問題があるのは、ニュースを見ている方ならご存じだと思いますが、都道府県によって内容の足並みが揃わないこと。日本の弱い部分です。
個人でできることは、不要な外出を控えること。感染を増やさないことが重要です。
世界保健機関(WHO)
新型コロナウイルス(COVID-19)の情報の発信地、取りまとめ役となっている「世界保健機関(WHO)」。
WHOは「World Health Organization」は単語の頭文字を取った略称で、スイス・ジュネーブに本部を置く国際連合の専門機関です。
- 情報の収集と公開、国際基準の設定
- 多国間協力の推進
- 災害時の緊急対策
- 感染症の対策
- 健康を守り、成功の質を向上させる取り組みの推進
人間の健康を基本的人権の一つと捉えて、達成することを目的としています。
現在はテレビでもよく見るテドロス・アダノム氏が事務局長を務めていますが、1988年7月21日から10年間日本の中嶋宏氏が事務局長を務めていました。
世界の健康に関する情報が集まり、発信される機関と認識しておきましょう。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)
ジョージア州アトランタにある感染症対策の総合研究所「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」。
「CDC」は「Centers for Disease Control and Prevention」頭文字をとった略称。
- 健康に関する信頼できる情報の提供
- 健康の増進
2つを主目的にしており、国内外での調査・対策を講じる役割を果たしています。世界共通ルールとみなされる影響を持ち、発信される情報には信頼がおける総合研究所です。
日本で発表されるデータも多くが参照、引用、活用がされています。
テレワーク
在宅での仕事を推奨することでよく聞くようになった「テレワーク(telework)」。
「tele = 遠隔」「work = 仕事」で、自宅など柔軟な場所で働くこと。テレワークで働く人たちをテレワーカーとも呼びます。要は在宅ワーカーです。
主にネット回線の普及により、IT系の職種はテレワークをしている方が増えています。
- 物理的な作業は不可
- 対面の接客業は不可
- 労働時間の長時間化
主にネット回線を利用して行いますので、物理的な作業を必要とすることは不可であること。対面の接客業の方は行うことができません。推奨されても、できない方たちがいます。
自宅から外出する必要はないのですが、自宅で仕事ができるからこそ労働時間の長時間化、向き不向きが発生する働き方です。
分かりづらい言葉が多いCOVID-19
新型コロナウイルス(COVID-19)に対してよく聞く、分かりづらい言葉を紹介してきました。
現在は残念ながら特定の特効薬はありませんので、今後も感染の拡大、またよくわかりづらい言葉が増えていくことがないとはいえません。
個別の内容は別記事として紹介していきますが、言葉については随時で必要な時はこのページに追記していくようにします。
- 不要な外出は控える
- 手洗いは何かタイミングがあるごとに
- 触れる行動をしたら、とにかく手洗い
飛沫感染、接触感染しないための予防をきっちりと行い、感染しないように気を付けましょう。
以上が『新型コロナウイルスの増えていく分かりづらい言葉、まとめてみました』でした。