その時の状況や場面で多かれ少なかれでの差はあっても、誰もが持っている「不安」。
全ての人が毎日ハッピーであればいいのですが、そうはいきません。自分自身だけでなく、身の回りにいる人で不安を抱えている人を見ることは当たり前にあることです。
不安を抱えている人を見かけたら、なんとかしてあげたいと思うのが心情。ですが、なんとかしてあげたいという言葉や行動が、助けではなく逆に追い詰めてしまうことも少なくありません。
不安を抱いている人に対して言ったり、してはいけない4つのことについて、心理学者 ジェイドウー博士がまとめています。ついしてしまうことも多いですので、参考にしてみてください。
善意の行動が相手を追い詰める
不安をいだいている人に言ったり、していけないことは、次の4つです。
- 「リラックスしてね」と声をかける
- 「心配することはないよ」と声をかける
- 「私や僕にも不安はあるよ」と声をかける
- 「強制的に不安を取り除く」行動を助ける
4つのどれも相手を助けになると思い、つい声をかけたり、行動をしてしまうことです。声をかけたり、声をかけられたことがある。行動をしたり、逆にしてもらったことがあるかと思います。
ここで、思い返してみてください。声をかけたり、行動することで解決したという経験は少なくありませんか? 不安を抱えている立場で考えると、うれしいよりうざったいと感じませんでしたか?
善意のように見えて、解決へと導くことは少ないんです。少ない理由は、相手の望んでいるものではないからでした。望んでいるものでないからこそ、当然ように解決はしません。
4つのことを個別に、なぜ言ったり、してはいけないのか、理由を含めて紹介していきます。
1.「リラックスしてね」と声をかける
相手を思うからこそ誰もがよく行ってしまう、声かけのパターンです。
- リラックスしてね
- 落ち着いて
不安でリラックスできずに落ち着いていないのですから、一見は自然な声かけに思えます。ですが、不安になっている時に、リラックスして落ち着くのは非常に困難です。
緊張や不安を抱えている時は交感神経が活発になり、「フライト・オア・プライト(戦うか逃げるか反応)」の状態になっています。自身で開放する必要に迫れている状態です。
合理的な思考を無効化する状態でもあるので、誰かに「リラックスしてね」「落ち着いて」と言われも、不安を持っている人には興味を持てないどころか、大きな負担でしかありません。
頑張っている人に「頑張ってね! 」と声をかけるのと同様で、相手に届くことのない言葉です。SNSで「頑張れください」というのとは欲すると欲してないの違いで、全く異なります。
「リラックスしてね」ではない対処方法
「不安に思っていることは何? 」と、質問してみます。質問に回答があれば、「どの選択をすればいいの? 」「どうしたいの? 」と、別の質問を投げかけてみましょう。
質問をすることで気にかけていることを示すと同時に、相手の不安の理解。理解から問題解決の糸口をつかめたり、話をすることで事実を見つめることが不安を和らげる機会となります。
2.「心配することはないよ」と声をかける
不安を抱えている人の不安が、自分には大きな不安に感じない時にかけてしまう言葉です。
- 心配することはないよ
- 大丈夫
- 大したことじゃないよ
- 私や僕を信じて
不安を感じている人にとって助けるどころか、全く役に立たない言葉です。役に立たないどころか根拠のない言葉となり、不信感へとつながります。何が心配がいらないのか分かりえません。
あなたに取っては大したことでなくても、抱えている人には大きな不安です。
「心配することはないよ」ではない対処方法
「もう自分は終わりだ! 」など、悲観的なことに同意する必要はありませんが、できることは相手への共感です。不安に思っていることに同調し、不安への共感をしてあげてください。
不安を抱えている人が回答できる質問をして、しっかりと聞くことが大切です。
3.「私や僕にも不安はあるよ」と声をかける
「実は私や僕にも不安があるよ」と打ち明けることで、相手の不安を和らげようとする人もいます。誰にでも不安はあるもの。経験を元にした不安の打ち明けは、有効な行動のように思えます。
- もっと自分の方が不安が大きい
- 不安に思うようなことではない
実際ユーモアセンスを元にすると有効な行動にもなり得るのですが、つい上記のような相手の不安を軽くみたり、迷いに値しないもとの言ってしまうことがあります。
これは相手も軽く見ること、否定することになり、失望へとつながります。不安に思っている時に軽くみられたり、否定をされたら、大きくなることはあっても減ることはありません。
例え同じ要素の不安であっても、受け取り方は人それぞれで異なるんです。
「私や僕にも不安はあるよ」ではない対処方法
自分の経験と比較してしまうと、意識をしていなくても軽くみたり、否定してしまうことがあります。対処方法は、よい聞き手になることです。不安に共感してあげてください。
4.「強制的に不安を取り除く」行動を助ける
相手の不安が分かっている場合、取り除くことができる場合があります。かんたんな例を出すと、次のような場合です。
- 犬が怖い子どもがいる
- 子どもは公園が大好き
- 公園に今日は犬がいる
この場合多くの場合は、犬がいるので回避するか、遠ざけるという行動です。回避と遠ざけることで安心させる行動ですが、不安を増幅させる行動でもあります。
その理由は、不安は回避から生まれるからです。例では犬に対してですが、不安を感じていることから逃げれば逃げるほど、恐怖を感じるようになります。危険だと感じてしまうんです。
食べ物の食わず嫌いがありますが、避けるからこそより嫌いになってしまいます。食わず嫌いのものであっても、実際に食べるとなんてことはなく食べられる場合があるのも同様です。
避けるべきものもありますが、逃げる行為を手伝うということは避けることが当たり前となるだけでなく、公認の不安となります。避けることはできても、ずっと不安として残ってしまうんです。
「強制的に不安を取り除く」ではない対処方法
例の犬であれば、「見た目は怖くても優しい犬だうよ。飼い主さんに言って触らしてもらおう」など、感情的にサポートをしてあげます。不安を一緒に克服してあげるんです。
他のことでも無理やりにではなく、少しずつでも励ましてサポートをしてあげましょう。
聞き上手でサポートにまわる
不安を抱いている人に言ったり、してはいけない4つのことをまとめてきました。
つい良かれと思ってしてしまうことが、相手の負担になってしまうんです。通常の状態の時と、不安になっている状態は、同じ人であっても大きく状態が異なります。
対応の仕方によっては、善意が悪意にもなり得るんです。もし「こんなことを言ってもいいかな? 」と感じた時は、自分が不安な時に言われたらどうかな? と考えてみてください。
- 質問をしてあげる
- 否定をしない
- 無責任な言葉をかけない
- 同調してあげる
- 聞き上手になる
紹介で4つ分かれていることも、上記は共通していることです。不安は誰かに対処してあげる時もあれば、対処してもらう時も訪れます。不安を軽減するような対処をしてあげましょう。
私には、僕には今はうまく対応がという時もあります。正義感で善意をするのではなく、触れないておくというのも、優しさです。誰かの不安を、自分の尺度で考えるのだけはダメですよ。
以上が『不安を抱いている人に対して言ったり、してはいけない4つのこと』でした。