技術の進歩により信頼性が大きく増している「シミュレーション」。
以前であれば実物で検証しなければならかかったことも、まずはシミュレーションによって検証することが多くなっています。シミュレーションによって、再現されている物も多いです。
「新型コロナウイルス(COVID-19)」の拡散をシミュレートし、どうのような対応をするのが感染の拡大を防げるのか、ワシントン・ポスト ハリー・スティーブン氏がまとめていました。
なぜ行動を制限、イベントなど自粛の要請がされるのか、視覚で分かりやすいです。感染のもと「SARS-CoV-2(サーズシーオーブイツー)が、ウイルスならではの理由も含めてご覧ください。
4つのウイルス感染拡大シミュレーション
出典:Washington Post
20年3月13日にトランプ大統領によって、国家非常事態宣言したアメリカ。図の通り感染者が増大しており、今の指数関数的なペースで倍増をし続けると、5月には約1億症例となります。
感染の広がり防ぐためにも、シミュレーションをするというのは有益なことでした。
今回行ったシミュレーションでは、200人の中に1人が「SARS-CoV-2」に感染、「新型コロナウイルス(COVID-19)」の発症者であることを前提に、4つのシミュレーションをしています。
- 200人が全ての人が自由に行動
- 検疫で隔離、陰性確認後に開放
- 200人の中で50人が行動
- 200人の中で8人が行動
行動を制限することが、どんな影響を与えるかということです。経過とともに動くアニメーションによるシミュレーションは、見出し下にリンクしたワシントン・ポストのサイトをご覧ください。
毎回が同じではなく都度シミュレーションされているので傾向としては同じですが、③、④の人数に変化が出てきます。毎回が全く同じにならないからこそ、シミュレーションという感じです。
1.200人が全ての人が自由に行動
出典:Washington Post
ウイルス感染者を含む、200人全ての人が自由に行動するシミュレーションです。
- 一人から感染
- 感染者からさらに感染
- 全ての人が感染
- 全ての人が回復して終了
自由に行動ができるため、感染が一気に広まるのが特徴です。200人と場所が決まっている中でのスピードのある全員の感染は、一番よろしくないパターンの感染の仕方といえます。
2.検疫で隔離、陰性確認後に開放
出典:Washington Post
感染者が検疫で隔離、陰性(回復)確認後に開放されるシミュレーションです。
- 隔離した場所で感染者が拡大
- 陰性反応であるのを確認して開放
- 偽陰性(感染中)の人も開放され、感染が拡大
- 全ての人が感染
- 全ての人が回復して終了
隔離した人の中で感染が拡大し、回復した方も出てきます。陰性の確認をしても偽陰性の人も開放されてしまうので、結果的に全員が感染することになりました。
全員に感染はしましたが、スピードには差が出てくるのが特徴です。このシミュレーションから確認できるのは、隔離は効果が期待はできても完全な対策ではないということでした。
3.200人の中で50人が行動
出典:Washington Post
1人の感染者を含めて、200人中50人が行動できるシミュレーションです。今回の4パターンのシミュレーションの中で、日本の現在の状態に近いパターンといえます。
- 感染者は増えるが、感染の拡大は緩やか
- 感染せずに終わる人が全体の約40%いる
- 回復者が増え、感染者が徐々に減る
行動を制限する人が75%もいるため、感染のスピードが大きく下がります。回復者の拡大とともに、感染者も減り、現実的な予防対策といえる方法です。
行動を制限することにより、感染ぜずに終わる人が全体の40%いるのも有望といえます。学校の自粛や、自宅での仕事、イベントの自粛に効果がある証明ともいえるシミュレーションです。
4.200人の中で8人が行動
出典:Washington Post
1人の感染者を含めて、200人中8人だけが行動できるシミュレーションです。
- 感染者は発生するが、感染の拡大は少ない
- 拡大と同様のスピードで回復者が増加
- 感染せずに終わる人が約70%もいる
感染の拡大が圧倒的に少なく、理想的ともいえるシミュレーション結果です。200人で8人しか行動しないのは現実的ではないですが、行動の制限は大きな効果が見込めました。
不要な外出、行動を避ける人が増えれば増えるほど、ウイルスの感染拡大は防げます。単純な結果で誰もが想定できる結果ですが、数字で視覚的に分かるというのは大切です。
行動の制限は拡散防止につながる
最初の感染者は1人であっても、行動によって大きな差となるシミュレーション結果でした。ウイルスによる感染が主に飛沫感染、接触感染であると知っていても、大きな差です。
今回のシミュレーションでシンプルなもので、死亡者を考慮していないので不足点もありますが、行動の制限が拡散防止につながると確認するには十分な結果といえます。
行動の制限によって大きな差が出るのは、ウイルスの性質が大きく関係していました。
- ウイルスは自力で動けない
- ウイルスには宿主が必要
- 細胞に入りこんでコピーを複製
- 増殖スピードがとても早い
感染している人が無症状病原体保持者、潜伏期間であったり、安易な気持ちで行動することによって、ウイルスが拡散してしまうんです。1つのウイルスが大きな感染拡大につながります
「新型コロナウイルス(COVID-19)」は重症化する人を除いて、一定の期間で自然治癒が見込めるものです。保菌者が行動を控えることができれば、感染の拡大は急激に遅くなるんです。
ウイルスは目に見えないもので、感染に気付いていない人も中にはいます。不要な行動を控え、大きな予防となる手洗いをしっかりとすることが、今は本当に大切なことでした。
以上が『シミュレーション結果から分かる、ウイルス感染拡大の予防対策とは?』でした。